つきなかコラム vol.2(2026.5.14)
「社会保険に入りたくないので、労働時間を増やしたくない」人事やアルバイト社員がいる現場に携わっていると、一度は耳にしたことのある言葉ではないでしょうか。日本では「国民皆保険制度」「国民皆年金制度」により、すべての人が何らかの医療保険・年金制度に加入する仕組みとなっています。企業でフルタイム勤務をする場合、多くの方が健康保険と厚生年金保険に加入します。また、フルタイム勤務ではなくても、フルタイム社員の4分の3以上の労働時間で働く方は、同様に社会保険へ加入することとなります。さらに近年は、いわゆる「社会保険の適用拡大」が進んでいます。2016年10月からは、一定規模以上の企業において、週20時間以上勤務し、一定の賃金要件を満たす短時間労働者についても、社会保険加入の対象となりました(学生を除く)。その後、企業規模要件は段階的に緩和されており、今後は以下のように適用拡大が予定されています。つまり、2035年10月以降は、週20時間以上勤務する労働者であれば、企業規模に関係なく社会保険加入の対象となります(学生を除く)。また、賃金要件(月額8.8万円以上)についても見直しが行われ、今年10月に撤廃される予定となっています。さらに、雇用保険については、1994年から定められている「週20時間以上」の加入要件が、2028年10月から「週10時間以上」へ拡大される予定です。いずれは社会保険の時間要件も変わるかもしれません。こうした適用拡大の流れの中で、私自身、過去に印象的だった相談があります。20年ほど前、ある店舗の店長から、「生活のために労働時間を増やしたいが、社会保険には入りたくないと言っているスタッフがいる」と相談を受けました。私は当初、「その労働時間で働くのであれば社会保険加入が必要となり、保険料負担が発生するため、手取り額はその分減少します」と、手取り額のシミュレーションを含めて回答しました。「本人は手取りを重視しているが、長い目で見ると社会保険に加入するメリットもあるのではないか。スタッフにも分かるように説明してほしい」そのとき、私は「説明が足りなかった」と反省しました。制度上の加入要件や保険料負担だけではなく、“なぜ社会保険制度があるのか”という本来の役割まで伝える必要があったと感じたのです。そこで、私は改めて社会保険加入のメリットを説明しました。まず健康保険には、病気やけがで働けなくなった際の「傷病手当金」や、出産時の「出産手当金」など、生活を支えるための保障制度があります。また、厚生年金保険についても、保険料を会社と本人で折半する仕組みであり、将来受け取る老齢厚生年金が国民年金に上乗せされます。さらに、障害年金や遺族年金の面でも保障が手厚くなります。加えて、その会社では、社会保険加入者を対象に健康診断、40歳以上は人間ドック補助制度も設けられており、さらに、福利厚生サービスや共済制度などを利用できる対象でもありました。そのスタッフの方はお子さまを扶養されており、ご家族の生活を支える立場でもありました。そのため私は、「保険料負担による手取り額の変化だけではなく、将来への備えや、万一の際の保障という視点も大切ではないでしょうか」とお伝えしました。それ以降、私は入社時や労働時間変更時の説明において、単に加入要件を伝えるだけでなく、社会保険や雇用保険が持つ“保障としての役割”も併せて説明するよう心掛けています。社会保険制度は、単に社会保険料が「控除」されるものではなく、病気・出産・老後など、人生のさまざまなリスクを支える国民の大事な仕組みです。昨今は「手取り額」を重視した議論が増えていますが、目先の金額だけではなく、将来への備えという視点を踏まえて制度をしっかりと考えていくことが、これからますます重要になるのではないでしょうか。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~先月(2026年4月)までに公開された情報から以下を厳選して紹介しますので、ご興味があればご覧ください!また以下の情報に関して、相談のご希望がございましたら、問い合せフォームへお気軽にご連絡ください。 2026年の年金制度改正の内容を反映したガイドブック・チラシその他のコンテンツの大幅な改修を行ったことを厚生労働省が公表した。②同一労働同一賃金ガイドラインの改正<令和8年10月1日施行・適用> パートタイム・有期雇用労働者の待遇改善を進めるため、「同一労働同一賃金」に関する施行規則と告示が改正された。 厚生労働省は、令和8年度の労働保険年度更新申告書の書き方に関するリーフレットを公開、令和8年度の年度更新期間は6月1日(月)から7月10日(金)までとなっている。 年度更新申告書は、例年5月末ごろに都道府県労働局から各事業主宛てに送付される予定である。 ただし、令和8年度の年度更新から、資本金1億円超の法人等で電子申請が義務化されている事業場については、申告書の送付がなくなるため注意が必要である。 令和8年度事業主の皆様へ(継続事業用)労働保険年度更新申告書の書き方
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